私たち人類の活動が環境にどの程度負荷を掛けているかの指標の1つとして「エコロジカル・フットプリント」があります。日本語に直訳すると「生態学的な足跡」となりますが、これはどのような指標で、どのように計算されているのでしょうか。
WWF・ジャパンのウエブサイトによると
人が利用する食物や林産物の生産に必要な、耕作地や牧草地、森林、海洋の面積、そして排出したCO2(二酸化炭素)を吸収する上で必要な森林の面積などを計測し、明らかにすることで、「人が使っている資源を生み出すために、必要な土地」の規模を明らかにする試み。
私たちが現代の生活で足跡を付けた(踏みつけた?)土地の面積といったところでしょうか。
下のグラフは、全世界で既に地球が1.7個分の自然資源が必要な状態にあり、毎年増え続けていることを示しています。
この指標はどのように計算しているのでしょうか。
エコロジカル・フットプリントは私たち人類が環境にかけている負荷を6つの種類の土地の面積に置き換えてその面積を計算しています。
ある人の1日の朝起きてから寝るまでの活動を6つ種類の土地に分けると下の図のようになります。この絵で確認すると改めて私たちの生活・活動のすべてが自然資源のもとに成り立っていることがわかります。
では、日本全体ではどのような状況になっているのでしょうか。
下の図の足の絵で表現されているのが日本全体での環境への負荷(エコロジーフットプリント)です。日本の大きな特徴は、私たちの活動に必要な資源の87%は海外から輸入したもので、成り立っており、国内で賄える能力は円グラフであらわされている13%しかないという事実です。排出される二酸化炭素の一部しか国内の森林で吸収することはできず、その多くは大気中に蓄積されます。
下のグラフは日本のエコロジカル・フットプリントの推移を示したものです。1960年代より自然で再生できる能力を超え増え続け、もし世界の人々が現在の日本のような生活様式を続けると「地球2.8個分」の面積が必要ということを表しています。
では、このような現状を変えるためにはどのような努力が必要でしょうか。WWFジャパンは自治体に対して以下のように提言しています。
- 環境負荷を下げる(=エコロジカル・フットプリントを減らす)こと。温暖化対策、食品ロス削減、効率よい資源利用のための技術革新
- 土地の生産性を高める (=バイオ・キャパシティ※を増やす) こと。土壌の改善、適切な土地の利用、責任ある調達方針の設定、
- これらを支え、つなぐこと 。教育プログラムの実施、市民参加の場づくり、自治体間の連携
この2つの活動は私たち市民にもできることも多く含まれています。気づいた人から始め、活動の輪を広げましょう。