福島第一原子力発電所の事故による放射性物質で汚染された土のうち放射性物質の濃度が低い土を再資源化し全国の公共土木事業に使用する方針だということを先日NHKの番組で報道がありました。(NHKスペシャル 約束はどこへ 原発事故14年 さまよう除染土)
今後のエネルギーマネジメント(投資を含む)の理解を深めるために以下環境省が公表している情報をもとに整理しました。
除染土とは
「福島第一原発事故の後、放射性物質で傷ついた環境を回復させるために除去された土壌」を指します。(出典:環境省ウエブサイト 2025 3/29確認)
除染土の量 (中間貯蔵施設への累積搬入量)
約1407万m3 2025年2月現在(東京ドーム約11個分)(出典:環境省ウエブサイト 2025 3/29確認)
最終処分地域(場所)
中間貯蔵・環境安全事業株式会社法においては、除染等の措置に伴い生じた土壌等について、「中間貯蔵開始後30 年以内に福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる」ことが国の責務として明記されています。
再資源化とは
「除去土壌について、用途に応じた必要な処理をすることによ
り、盛土、埋立て又は充填の用に供する資材として利用するこ
とができる状態にする行為」(出典:復興再生利用に係るガイドライン 2025年3月 環境省 2025 3/29確認)
再生資材化した除去土壌の放射性セシウム濃度(利用基準)
Cs-134、Cs-137 の合計で 8,000Bq/kg 以下 (出典:復興再生利用に係るガイドライン 2025年3月 環境省 2025 3/29確認)
復興再生利用の流れ

除却土約8割が再生資材化基準を満たすと推定(2018年10月時点における推計値)
除却土利用時の覆土

層Aの厚さはこれまでの実証事業から20~30㎝とし、利用先の用途に応じた必要な機能を考慮した層(層B)の厚さは、構造物等の維持
管理、用途や利用方法・利用実態(埋設管等の地下埋設物を含む)といった観点を考慮して、事業実施者により設定される
中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略

2019年に見直された戦略目標文書によると、除去土壌等の総発生見込み量のうち約8割超は 8,000 Bq/kg 以下になると推計され
全国の公共土木事業などで利用する戦略のようです。(出典:環境省資料 中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略 戦略目標の達成に向けた見直し 平成 31 年(2019 年)3月作成 https://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/effort/investigative_commission/pdf/investigative_commission_review_1903.pdf 2025年4/1確認)
除去土壌を再生利用を進める理由となる事実
平成15年(2003年)に中間貯蔵施設を福島県内に設置するにあたり制定された「中間貯蔵・環境安全事業株式会社法」第三条(国の責務)に「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずるものとする。」と規定されている。(出典 e-gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000044#Mp-Ch_1-At_1 2025年4月2日確認)
福島県外での除去土壌の再生利用実証事業
環境省のホームページによると、以下の埼玉県と東京都の環境省の施設内の土地で実施する予定にしていたようです。
環境調査研修所(埼玉県所沢市)
新宿御苑管理事務所(東京都新宿区)
2025年3月28日のNHKの報道によると上記の箇所の実証事業は周辺住民の反対により進んでいないようです。(NHK ウエブサイト 「除染土の再生利用 使用基準の省令公布 理解醸成へ 環境省」2025年4月1日確認 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250328/k10014763631000.html)