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マネジメント塾、研修、コンサルティングを事業とするインサイトマネジメント株式会社 代表取締役。常によりよいマネジメントを探究しています。

ビジネスチャンスとしてのSDGs

2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標 である、「持続可能な開発目標(SDGs)」を中小企業・農業者の立場で捉え、この目標の活用の仕方を考えてみたいと思います。

1. 中小企業におけるSDGsの認知度、目的、課題

2022年3月に国の中小企業支援の実施機関である中小機構のアンケート調査によると、中小企業における認知度は86%に達しています。しかし、「十分に理解している。」と回答した割合は6%にとどまっています。

出典:「中小企業のSDGs 推進に関する実態調査」中小機構

SDGsに取り組む意義・目的に関しては、1. 企業の社会的責任、2. 企業のイメージ向上、3. 社員のモチベーション向上が上位3位となっています。

出典:「中小企業のSDGs 推進に関する実態調査」中小機構

取り組みに向けた課題に関しては多くの中小企業が、「SDGsに関してどのように取り組めばよいか、取り組むメリットがわからない。」と回答しています。

出典:「中小企業のSDGs 推進に関する実態調査」中小機構

2. SDGsによるビジネスチャンス

上記のデータより、多くの中小企業の方々が聞いたことがあるが理解しておらず、理解している企業もSDGsを従来の社会貢献と位置づけ取り組むためには本業とは別に資金、追加の人員が必要な「費用」であると認識しているのではないかと予想できます。

しかし、実際にはSDGsを本業として取り組むことで、売り上げ、利益の増加が大いに見込めること。身軽でアイデアが豊富な中小企業こそ、取り組むメリットがあることなのです。

1)経団連の報告による産業別経済効果

2020年4月に公表された経団連と東大等による報告書によると、内閣府が提唱するデジタル革新(DX)等による未来の社会像 Society 5.0によるSDGsへの取り組みにより、2030年には新たな市場が創出されGDPベースで250兆円押し上げられると予想しています。

SDGsに取り組むことによる経済効果を産業別に見ると、ヘルスケア、製造業(ものづくり)、輸送(スマートモビリティ)、住環境(スマートリビング)、次世代エネルギー、金融、情報、そして農業が挙げられています。

2)国連による食・農業関係の新たな市場分野

この予測は従来の産業をベースに行われているので、SDGsに取り組む上で創出される新たな産業は含まれていません。

SDGsを達成するためには、従来型のビジネスでは達成できず、従来の発想でないビジネスモデルが求められていることを考えると、さらなる経済効果が期待できます。

国連の2017年に作成されたSDGsに取り組むビジネスに関する報告書(Better business Better world)では4つの分野で60の新たな成長市場が見込まれると報告しています。

食品・農業の分野で新たに市場が創出される14の分野は以下のとおりです。

The report of the Business & Sustainable Development Commissionを弊社で翻訳

よって、まずは中小企業者・農業者の方々がSDGsの意識を「費用」から「売上」に変更し、上記のような新たな市場に対して今までにない発想で果敢に取り組むことで、環境、社会も改善され、事業機会も増大することが可能になります。

まずは、ビジネスの本来の目的である「社会をよくすること」に立ち返り、皆で協力し「私たちの子供、孫の世代によりよい姿で地域を残すこと。」を目指しましょう。

その上でSDGsの背景とその内容をしっかりと理解することから始め、現状をしっかり理解し、その上で上記のような市場に対する事業を検討するという順番で取り組むことで効果的で持続可能なビジネス展開ができます。