先月末までJICAの研修として持続可能な食料システムに関して多くの国々の方々と一緒に学びました。
今回の研修では、新たな取り組みとして、農水省、環境省、消費者庁が連携し、民間企業、団体が参加しておこなった「サステイナウイーク」に参加し、「サステナビリティ祭り」として参加しました。(研修の概要はこちら)
その中で新たに気付いたことをお話しします。
飢餓と肥満
上記の地図は世界で持続可能な開発目標の「2.飢餓をゼロに」の国別の達成度合いを信号のように色で示したものです。
通常の飢餓に苦しんでいる地域のイメージとはかなり異なる状況だと思います。その理由として、この2番の目標には飢餓をなくす他に、食の安全保障、健康な栄養摂取、化学肥料に頼らない持続可能な農業が含まれているからです。
今回研修に参加した国々でも、カロリー摂取の過多による肥満の比率が高い国が複数ありました。
そこで、システムとして食料のシステムの全体を持続可能にするための1の鍵として、「健康的な食習慣」の啓発を含めて食料システム全体をデザインしなおすことが検討されました。
前回の記事「生命とは」で考察したように、私たちの命は老化に向かう自然の流れに対して、微妙なバランスを取ることで維持されています。
健康的な食習慣を念頭に農薬、化学肥料に頼らない作物、野菜の栽培各流通段階でのフードロスを減らすことはもちろんですが、それらの生産のバランスを健康的な食生活に合わせて、肥満が国としての課題となっている国では穀物の生産(輸入)を減らし、栄養価のバランスを考えた野菜の生産の割合を増やすことで、生活習慣病のリスクも下げ、SDGs 3番 「すべての人に健康と福祉を」の達成にもつながります。さらに運動、メンタルヘルスを含めた生活習慣改善を含む予防医療の普及を含めた食料システムをデザインすることで理想的な地域社会づくりに近づくことが見えてきました。