これからの時代のイノベーション

持続可能な社会への転換を目指す場合、いままでどおりのやり方では役に立たないことは以前の記事で説明しました。(記事:限界を超えると起こる未来)現状を変えるためには多くのイノベーション(変革)が必要です。

イノベーションとは

イノベーションという言葉はよく耳にすると思いますが、イノベーションとはなんでしょうか。

イノベーションとは単に新しいだけでなく、人々の課題を解決する可能性のあるもので広く普及されるものを指します。

イノベーションとはハイテク商品?

イノベーションと聞くと自動車の自動運転やAIの活用など何か高度な技術を活用したものをイメージするひとが多いのではないでしょうか。
しかし、歴史を振り返ると、真に私たちの生活に影響を与えたイノベーションはそのイメージとは大きく異なります。

我々の歴史上のイノベーション

我々人類が発明、発見し現在の多くの仕事の基礎になっているイノベーションは、私たちがイメージするような複雑で製造、運用に多くのエネルギーを必要とするものではなく、以下のような物理学など自然の法則をもとに発想した単純の構造の道具(単純機械)です。

Foster, Ellsworth D., ed; Hughes, James L. (James Laughlin)

これらのイノベーションは、単純な構造で作りやすく、費用かからないので、世界中に普及したと考えられます。

イノベーションの種類

イノベーションには、以下の3種類があります。

  • 製品・サービスのイノベーション
  • プロセスのイノベーション
    (新たな発想により従来の工程を圧倒的に改善する。)
  • ビジネスモデルのイノベーション
    (今までなかったビジネスの形態により、多くの顧客のニーズに応える)

上記の単純機械は、製品(例 車輪ー>くるま)、プロセス(例:車の製造工程)、そして新たなビジネスモデル(例:自動車を使った宅配ビジネス)にも活用されていることがわかります。

破壊的イノベーション

単純機械もそうですが、それが発明される以前のやり方から、圧倒的な改善があり、置き換えられるイノベーションを破壊的イノベーションと呼びます。この破壊的イノベーションに置き換えられる過程には特徴があります。

出典 What is Distruptive Innovation?  ハーバードビジネスレビュー

上のグラフが示すように、既にある市場で成功している企業は、高収益が見込める高価格帯市場に向けて継続的な製品の性能向上を図ることにより、いつしか高価格帯の顧客層が求める性能さえも超えた製品を作るようになり、高価格帯市場において成長できなくなります。
そうしている間に、低収益であるため市場で成功していた企業が無視していた低価格帯市場に対して、新規参入企業が従来とは異なる手法により、低価格を実現し低価格市場では受け入れられる製品を市場に投入します。

当初は性能的に主要市場を開拓するには不十分であるため、既存企業は無視し続けます。その間に新規参入企業は技術力を高め、性能を向上し、気が付いた時には主要市場が新規企業に置き換えられるという流れです。

持続可能な社会のためのイノベーション

これからの時代は持続可能な経済、社会、環境を達成するイノベーションが必要です。グローバルな視点で考えた場合、自動運転車やGPS, センサー、ドローンを組み合わせた精密農業が本当に必要とされているのか、上記の破壊的イノベーションのプロセスで説明したように高価格帯の市場のニーズすら上回っていないかを検討する必要があると思います。さらに気候変動、エネルギー問題の観点からは、これらの製品の製造および運用過程において多大なエネルギーが消費され、温暖化にも負の影響を与えることになります。

医療業界においても、既存の医薬品、医療機器メーカーの製品が高価格帯の顧客のニーズを超えたものを提供している可能性を検証すべきではないかと思います。

持続可能な社会のためのイノベーションは低価格でありながら、利益率をしっかり確保した上で、性能、品質は初期段階では課題があるが改善の余地がある「単純機械」のような製品、サービスです。
それらを核とし、既存の業界のプロセスを大幅に改善するビジネスモデルを皆さんと一緒に考えたいと思います。

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