論文要約:ストレスを再考する:ストレス反応の決定におけるマインドセットの役割(2013年)(原文:Rethinking stress: the role of mindsets in determining the stress response. Crum AJ1, Salovey P, Achor S.)
実験(3つ実施した実験のうちの2つ目):リーマンショック下の事業縮小、リストラを実施中の大手投資会社の社員388名(同僚の減少による仕事量の増加、自身の仕事が確保されるかの不安等の肉体的、精神的なストレスがあると想定される状況)を3つのグループに分け、1つめのグループ(163人)に対しては「ストレスは成長させる」という科学的な事実に基づく短い3分程度ビデオが3部構成されたe-learningを1週間実施、2つ目のグループ(162人)に対しては「ストレスは消耗させる」という科学的事実に基づくビデオを視聴させ、3つ目のグループ(61人)はコントロールグループとして、いずれのビデオも見せなかった。ビデオ視聴が終了後2-3日たった後、ストレスとその効果に対する調査を実施した。
結果:「ストレスは成長させる」、「ストレスは消耗させる」ビデオを見た治験者は見たビデオによる「マインドセット(意識)」を短期間で持ち、その影響がデータに表れた。「ストレスは成長させる」ビデオを見た治験者は精神状態の改善が見られ、仕事のハードスキル(仕事の質、量、効率、正確性)とソフトスキル(新たなアイデア、集中力、仕事へのコミットメント、協調性)の向上も見られた。「ストレスは消耗させる」ビデオを見た治験者、どちらのビデオも見なかった治験者は統計上有意な変化は見られなかった。
考察:ストレスに対する「マインドセット」を変えることで、ストレスを活用することができる。また危機的な状況を成長の機会とすることができそうである。
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