脱炭素と原子力発電と洞察力

持続可能な開発目標(SDGs)は、私たちの2030年の目指すべき未来の姿を示しています。17の目標があるのは、1つの目標ではなく、17の異なる要因を全て解決してはじめて目指すべき未来が達成されるからです。

なぜ、個別の目標達成に集中することではいけないのでしょうか。

脱炭素と原子力発電を例にとりましょう。

SDGsの目標の13「気候変動に具体的な対策を」と関連し、パリ協定では、「 世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2°Cより十分低く保つととも
に、1.5°Cに抑える努力を追求すること、適応能力を向上させること 。」を目的としています。(環境省ホームページより

なぜ、1.5°Cに抑える必要があるのでしょう。

地球環境戦略研究機関 参与の 西岡秀三 氏は次のように述べています。

「世界中の気候が変調をきたし、農業を痛め、洪水が居住地を襲い、経済活動をも脅かす。何としても止めたい。

少々の温度上昇であれば人間が手を打てば止められようが、このままどんどん温度が上がってゆくと、シベリアではこれまで凍土にとじ込められていたメタンが噴出して人力では止めようがなくなり、ついには灼熱の地球になる。」

地球の気温の上昇は私たちのそして将来世代に暮らしに多大な影響があるからです。

一方原子力発電ですが、現在稼働している発電の仕組みでは発電し続ける限り、高レベル放射線廃棄物が蓄積され、処分施設も決まらまいまま、発電所施設内の積み上げられています。また、処分場での保管も数万年から10万年と途方もない期間の保管が必要となります。(過去の記事「原発事故から10年」参照)取り扱いがとても難しい物質であり、一度事故が発生すると多大な生活、経済への影響が長期に及ぶことを私たちは直接経験済みです。

SDGsの目指す未来は、環境を守り、私たちを含む、すべての生物が持続的に生活できる姿です。

脱炭素のみ達成するために、原子力発電を推進すれば、炭素排出量を削減する代わりに、将来に渡り放射能廃棄物を増加させてしまいます。

私たちは、何らかの課題に取り組む際に、その課題にのみ集中し、解決方法を考えがちです。その結果、目先の結果を得るために、思わぬ新たな問題を増やしてしまうことがあります。

すべての問題が何かを犠牲にしなければ解決できないのでしょうか。

以下のビデオで私たちの親戚が示しているように、私たちには洞察力があります。

何かを壊して、目的の達成するのではなく、試行錯誤を繰り返した後、全体を俯瞰し、他の分野での経験も活かすことで、何かを壊すことなく「スマート」な方法で解決することができます。

SDGs(持続的可能な開発目標)の17の目標全体を俯瞰し、互いの関係を理解した上で、1つのシステムとして捉え、試行錯誤することで、最適な戦略を立て、実行することが可能なはずです。

今月は国政選挙があります。私たちは投票によって、国の方針を選ぶことができます。

NHKでは、各党の公約および、各候補者ごとのエネルギー政策を含む、重要な課題のアンケートの結果と集計を以下のページで公開しています。各党がどのように考え、政策の実行を考えているか理解した上で投票することで、私たちも国の将来の方向性を決めることに参加できます。

各党の公約「原発・エネルギー」

衆議院選挙2021候補者アンケート

衆議院選挙2021候補者アンケート集計

また、以下のように各党は選挙公約が公表されています。各党がどのような方針なのかしっかりと理解した上で、未来作りに参加しましょう。

自由民主党公約

立憲民政党公約

社会民主党公約

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